現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アウディ S3 スポーツバック初試乗! 新型A3シリーズの上質なドライビングフィールをジャッジ

ここから本文です

アウディ S3 スポーツバック初試乗! 新型A3シリーズの上質なドライビングフィールをジャッジ

掲載 更新
アウディ S3 スポーツバック初試乗! 新型A3シリーズの上質なドライビングフィールをジャッジ

Audi S3 Sportback / A3 Sedan 30 TFSI

アウディ S3 スポーツバック/A3 セダン 30 TFSI

アウディ S3 スポーツバック初試乗! 新型A3シリーズの上質なドライビングフィールをジャッジ

大胆不敵な進化

4代目となるアウディのCセグメントモデル、A3&S3がデビューを果たした。310ps/400Nmを誇る2.0リッター直4ターボを搭載するAWDホットハッチのS3 スポーツバックと、1.0リッター直3ターボに48Vマイルドハイブリッドを採用して売れ筋となるであろうA3 セダンのポテンシャルを確かめてきた。

「S3の感想はひとこと“ウェルカムバック!”に尽きる」

アウディのプレミアムコンパクトであるA3シリーズがとうとう日本上陸。その先陣を切る形でベーシックモデルとなる1.0リッターターボモデル「30 TFSI」のセダン及びスポーツバック、高性能モデルとなるS3 スポーツバックに試乗した。ちなみにこれらは「1stエディション」であり、それぞれが375台/125台/125台(スポーツバックのみ)限定となる。

さて本誌読者のお目当てとなるであろうS3だが、その感想はひとこと「ウェルカムバック!」だった。S3は先代モデル末期にシャシーを若干テコ入れしたことで、本来の魅力であるしなやかさが失われていた。しかし新型は再び、その路線に舵を戻してくれた。

「先代最終型の290ps/380Nmから310ps/400Nmまで出力アップしたS3」

2.0リッターの直列4気筒TFSIは、先代最終型の290ps/380Nmから310ps/400Nmまで出力がアップ。これをFFベースのクワトロシステムで適宜4輪制御し、7速Sトロニックで操作するシステムは先代と同じである。

その走りは端的に言うとバランスが良い。圧倒的なボディ剛性を感じるわけではない。のけぞるようにパワーが強烈で、トラクションレベルが鬼のように高いということでもない。しかしアクセルを踏み込めばS3はタイムラグなく加速し、ステアリングを切れば自然なロール感でコーナーをクリアする。

「すべての動きが上質で、走らせるほどにその味わいが増していく」

操舵に対して正確に反応する支持剛性の高いステアリングシャフト。ここから伝えられる命令を、しなやかなダンピングでタイヤに伝える電子制御の可変ダンパー。すべての動きが上質で、走らせるほどにその味わいが増していく。もしアナタが相棒に強烈な個性を求めるならRS 3の登場を待つべきだ。しかしクルマとの対話に喜びを感じるドライバーなら「コイツは速い!」と共感してくれるはずだ。

そもそもS3は歴代こうした玄人好みな個性であり、現行型となって濃くなったわけではない。むしろあまりの変わらなさに「もう少し何か新しさがあってもいいんじゃないの?」と思わないこともない。

「序列的にもゴルフはこの質感を超えられないだろう」

しかし電動化が急務の世の中でこれだけ味わい深いガソリン車を継続してくれたことはまず朗報だし、その変わらない頑固さこそが、老舗たる所以なのだろうと納得する。

そして先にS3の出来映えを見せつけられてしまうと、まだ見ぬゴルフ GTiやゴルフ Rに少なからず不安を覚えた。なぜなら序列的にもゴルフはこの質感を超えられないだろうし、となれば価格の安さは当然として、それこそ新しい価値観で我々を驚かせる必要があるからだ。

「新型A3の要は48Vマイルドハイブリッドを採用したことだ」

さてここからは、ベーシックモデルであるA3についても少し触れよう。その要となるのは1.0リッターの直列3気筒ターボ(110ps/200Nm)を48Vマイルドハイブリッド化したことで、駆動方式はFWD。S3と同様トランスミッションは7速Sトロニックを用い、要所要所に使われる機構はゴルフ eTSI(110ps/200Nm)とまったく同じだという。

しかしながらその乗り味は、やはりアウディが一枚上手だった。新型ゴルフから感じたステアリングシャフトから伝わる低級振動は見事に遮断されており、乗り味も明らかに高級。これはゴルフも同じだが、トーションビーム形式のリヤサスに剛性不足を感じないことにも驚いた。試乗車は18インチを履く限定車だったこともあり、ハンドリングがややクイックで乗り心地もしなやかさに欠けたが、ベースとなった「アドバンスド」の17インチや、ベースモデルの16インチであればよりアウディらしいしっとり感が得られると思う。

「その排気量から想像する以上にクオリティが高い30 TFSI」

エンジンはその排気量から想像する以上にクオリティが高い。アクセル開度が少なめでも上手に低中速トルクが発揮できるのは、BAS(ベルト駆動式オルタネータースターター)の黒子的なアシストに加え、可変ジオメトリーターボが過給圧を確保するからだろう。これを7速DCTで巧みに変速させながら、A3は山道を力強く登ってくれる。そしていざアクセルを踏み込めば、スムーズな中にも独特な振動を放つ3気筒ターボが元気に吹け上がる。

気になるのはコースティングがやや頻繁に行われることで、エンジンブレーキが効かずアクセルオフ時に空走感が強いこと。これは環境対応に追われての結果だとは思うが、乗り手はこれに慣れる必要がある。

セダンとスポーツバック、2つのボディ形状で1.0リッターターボと相性が良いのはスポーツバックの方だと思う。両者の車重はセダンが10kg重いだけなのだが、ボディ剛性やセッティングの違いからか、スポーツバックは軽やかに走る。対してセダンはオーソドックスで堅牢感のある乗り味が魅力なので、2.0リッタークワトロの「40 TFSI」を選んだ方が高い満足感を得られると思う。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/服部真哉(Shinya HATTORI)

MAGAZINE/GENROQ 2021年 8月号

【SPECIFICATIONS】

アウディ S3 スポーツバック 1stエディション〈A3 セダン 30 TFSI 1stエディション〉

ボディサイズ:全長4350〈4495〉×全幅1815×全高1440〈1425〉mm
ホイールベース:2630〈2635〉mm
車両重量:1560〈1330〉kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ〈直列3気筒DOHCターボ〉
総排気量:1984〈999〉cc
最高出力:228kW(310ps)/5450-6500rpm〈81kW(110ps)/5500rpm〉
最大トルク:400Nm/2000-5450rpm〈200Nm/2000-3000rpm〉
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD〈FWD〉
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後ダブルウィッシュボーン〈トレーリングアーム〉
ブレーキ:前後ディスク
タイヤサイズ:前後235/35R19〈225/40R18〉
環境性能:11.6〈17.9〉km/L(WLTC)
車両本体価格:711万円〈472万円〉

【問い合わせ】
アウディ コミュニティセンター
TEL 0120-598106

こんな記事も読まれています

えっ…また給油!? 「ガソリン代を節約したい!」 誰でも“今すぐ”できる「燃費を良くする」方法とは?
えっ…また給油!? 「ガソリン代を節約したい!」 誰でも“今すぐ”できる「燃費を良くする」方法とは?
くるまのニュース
トヨタ紡織、成田空港のラウンジに高機能シート用いた仮眠スペースを設置 6/28まで実証実験
トヨタ紡織、成田空港のラウンジに高機能シート用いた仮眠スペースを設置 6/28まで実証実験
日刊自動車新聞
BYDが新型電動SUVの『シール U DM-i』をグッドウッド2024に出展へ
BYDが新型電動SUVの『シール U DM-i』をグッドウッド2024に出展へ
レスポンス
ホンダ新型「シティ」発表! スポーティな「RS」もある「コンパクト5ドアハッチバック」! 精悍顔な“新モデル”に熱望の声! 馬で予約受付開始
ホンダ新型「シティ」発表! スポーティな「RS」もある「コンパクト5ドアハッチバック」! 精悍顔な“新モデル”に熱望の声! 馬で予約受付開始
くるまのニュース
違いを説明できる? 道路に描かれた「破線矢印」と「実線矢印」が示す意味の違いとは
違いを説明できる? 道路に描かれた「破線矢印」と「実線矢印」が示す意味の違いとは
バイクのニュース
「全然見かけない」 東京のライドシェアが“タクシーの2倍”運行してるのは本当か? 国交省と現場の温度差歴然、解禁2か月で考える
「全然見かけない」 東京のライドシェアが“タクシーの2倍”運行してるのは本当か? 国交省と現場の温度差歴然、解禁2か月で考える
Merkmal
スバル『BRZ』現行モデルが生産終了、新型登場かマイナーチェンジか
スバル『BRZ』現行モデルが生産終了、新型登場かマイナーチェンジか
レスポンス
マグヌッセン、来季以降に向けた優先順位はF1シート確保「もし残留できなければ……」WECやIMSAも選択肢に?
マグヌッセン、来季以降に向けた優先順位はF1シート確保「もし残留できなければ……」WECやIMSAも選択肢に?
motorsport.com 日本版
大型トラックの屋根にある「謎の小部屋」 内部はどうなってる? 何がある? 使い方は? 驚きの空間、利用者の声いかに
大型トラックの屋根にある「謎の小部屋」 内部はどうなってる? 何がある? 使い方は? 驚きの空間、利用者の声いかに
くるまのニュース
ホンダのワークスチーム「Team HRC」が「鈴鹿8耐」の参戦体制を発表
ホンダのワークスチーム「Team HRC」が「鈴鹿8耐」の参戦体制を発表
バイクのニュース
[15秒でわかる]MINI EVハッチバック「Favoured Trim」…爽やか
[15秒でわかる]MINI EVハッチバック「Favoured Trim」…爽やか
レスポンス
お金持ちがこぞって買うのも納得! 新型レクサスLMに乗ったらライバルなんて存在しないことがわかった
お金持ちがこぞって買うのも納得! 新型レクサスLMに乗ったらライバルなんて存在しないことがわかった
WEB CARTOP
自工会、取引適正化の「自主行動計画」改訂 原材料とエネルギー高騰分は全額転嫁へ 下請法違反の具体例も
自工会、取引適正化の「自主行動計画」改訂 原材料とエネルギー高騰分は全額転嫁へ 下請法違反の具体例も
日刊自動車新聞
【クラシック オブ ザ デイ】最もホットなメルセデスW124とは「500E」ではなく15台限定の「メルセデス E60 AMGリミテッド」だ!
【クラシック オブ ザ デイ】最もホットなメルセデスW124とは「500E」ではなく15台限定の「メルセデス E60 AMGリミテッド」だ!
AutoBild Japan
15年ぶりに「インテグラ」復活!? 「スポーティ“ハッチバック”」の実車展示に「好き」の声多し! 6速MTもある名車、米国登場の反響は?
15年ぶりに「インテグラ」復活!? 「スポーティ“ハッチバック”」の実車展示に「好き」の声多し! 6速MTもある名車、米国登場の反響は?
くるまのニュース
GRヤリス×GR-DAT公道試乗レポート! 気になる改良ポイントは?
GRヤリス×GR-DAT公道試乗レポート! 気になる改良ポイントは?
レスポンス
平均年収約458万円… 1800万円の「レクサスの最上級SUV」は買えないのでしょうか? 4人だけが乗れる「LX EXECUTIVE」を愛車するために必要な年収とは
平均年収約458万円… 1800万円の「レクサスの最上級SUV」は買えないのでしょうか? 4人だけが乗れる「LX EXECUTIVE」を愛車するために必要な年収とは
VAGUE
ソフトタイヤだけの使用に限定しても、オーバーテイクは増やせない……ピレリ、”抜けない”モナコ対策に白旗「我々にできることはあまりない」
ソフトタイヤだけの使用に限定しても、オーバーテイクは増やせない……ピレリ、”抜けない”モナコ対策に白旗「我々にできることはあまりない」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

681.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

77.0658.0万円

中古車を検索
S3 スポーツバック (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

681.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

77.0658.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村